着物には、マナーやふさわしい立ち振る舞いがつきものです。マナーは、着用する際のマナー、着物を着た際の所作のマナー、訪問先でのマナーと多岐にわたります。本記事では、さまざまなシーンごとのマナーやふさわしい立ち振る舞いについて解説します。着物をより美しく引き立てるマナーを身に着けて、素敵な着物美人に近づきましょう。
着用するときに気を付けるマナー
着物を着用する際にはマナーがいくつかあります。では、代表的なマナーを紹介します。
TPOに応じて適切な着物を選ぶ
まず、TPOに応じて適切な着物を選ぶことです。結婚式の場合では、新郎新婦の母親は黒留袖を、他の既婚親族は黒留袖か色留袖、未婚親族は色留袖、20代の未婚女性は振袖を着用します。子どもの入学式や卒業式では、訪問着や色無地が適切です。カジュアルな食事会などでは、小紋や紬も着用できます。
アクセサリーや香水は控えめにする
また、着物に合わせるアクセサリーや香水にも注意が必要です。アクセサリーは基本的につけない方がよいでしょう。もし、つけるのであれば結婚指輪くらいにしておきましょう。香水もほのかに香る程度にとどめます。
香水を直接着物につけるのは、シミになってしまうため厳禁です。とくにレンタル着物を使用する際は、香水が原因でシミを作ってしまうと追加料金が発生する可能性が高いです。
また、防虫剤のにおいが気になる場合は、風通しの良い場所で十分に干してから着用するとにおいが気にならなくなります。
着物を着た際の所作のマナー
着物を着用した際の所作には、美しさだけでなく、着物の着崩れやシワを防ぐための工夫があります。着物姿をより美しく見せるために、ポイントをしっかり押さえておきましょう。
姿勢と歩き方
まず、姿勢と歩き方についてです。着物で美しい姿勢を保つには、足を内股気味にし、両足を揃えて背筋を伸ばします。歩く際には内股気味にして歩幅を小さくし、つま先をまっすぐ出すように心がけます。
草履は引きずらないようにし、大きな音を立てないように注意します。階段を上り下りする際は、身体をななめにすることがポイントです。左手で袖を重ねて持ち、右手で着物の裾を軽く持ち上げながら、階段を上り下りするとスムーズです。
その他の所作
手を上げる際や荷物を持ち上げる際には、袖口を押さえて袖が滑り落ちないようにし、肩のラインよりも高い位置に手を上げないように注意します。物を拾う際には、腰を落としてかがみ、着物の裾が地面に触れないように気をつけましょう。
車に乗り降りする際には、横向きに座り、袖を踏まないように注意しながら、お尻を軸にして両足を車内に入れます。車の座席に座る際は、帯結びが崩れないよう浅く座ることがポイントです。
訪問先でのマナーと立ち振る舞い
訪問先での立ち振る舞いは、相手に失礼のないよう気配りが必要です。。着物でご自宅にお呼ばれする際のマナーや立ち振る舞いを紹介します。
玄関での立ち振る舞い
まず、玄関先での挨拶からです。玄関に着いたら、外で着ていたコートやショールを脱ぎ、手荷物とまとめて持ちます。玄関に入るときは、まず荷物をあがりかまちに置いてから挨拶をし、おじぎをします。
おじぎは相手より深くするようにしましょう。。次に、草履の取り扱いです。草履を脱ぐときは、片足ずつ鼻緒から足を外し、両足をそろえて脱ぎます。その後、身体をななめにして座り、片手で袖を押さえながら草履をそろえます。
部屋での立ち振る舞い
和室に通された場合は、畳のへりを踏まないように気をつけながら歩きます。座布団に座る際には、勧められてから座り、座る際も正座をします。正座する際には、着物の裾が引っ張られないように気をつけながら座ります。
座布団は踏まないように注意が必要です。座った状態での挨拶は、両手を膝の前でそろえ、おじぎをします。。手土産を持参した場合は、部屋に通された後に渡しましょう。手土産の品物を取り出す際は、相手に品物の正面を向けて、両手を添えて渡します。
イスに座る場合は、背もたれにもたれずに浅く腰掛け、着物の裾が地面に触れないようにします。
お茶やお菓子をいただく際の立ち振る舞い
お茶やお菓子をいただく際は、「頂戴いたします」と一言添えて受け取ります。お茶をいただく際も、左手で茶碗を持ち、右手を添えながらいただきます。お菓子をいただく際も、お菓子を持った手と逆の手を必ず添えるようにしましょう。
まとめ
着物を着る際は、TPOに合わせることが重要です。また、アクセサリーや香水は控えめをこころがけましょう。着物を着た際の所作は、着崩れやシワを防ぐ配慮が必要です。着物でご自宅にお呼ばれした場合は、玄関先や和室でのマナーに注意し、相手に失礼のないようにしましょう。。着物にはマナーや立ち振る舞いの決まりごとが多いですが、これらを守ることで着物姿をより美しく引き立てるでしょう。